
長年プレミアリーグに強豪クラブとして君臨してきたリバプールとアーセナル。優勝争いを繰り返しているリバプールに対して、アーセナルはヨーロッパ大会の出場を失うなど、近年は好対照な両チームですが、今回の対戦はどうなったのでしょうか?試合を分けたターニングポイントと一緒に解説をしていきます。
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【試合前分析】近年の相性ではリバプールが圧勝
ユルゲン・クロップ監督の就任とともにプレミアリーグ屈指の強豪となったリバプール。ここ4年でリーグ優勝とチャンピオンズリーグ優勝を成し遂げて、文字通り覇権を握っています。
一方のアーセナルは2016-2017シーズン以降チャンピオンズリーグの出場権を失い、ついに今シーズンは25年ぶりにヨーロッパ大会(チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、カンファレンスリーグ)に出ないシーズンを送っています。
そんな好対照の両チームですが、直接対決の成績もリバプールが大きく上回っています。ここ5年のアンフィールドでの対戦成績は、リバプールの6勝2分。リバプールがホームでアーセナルに敗れたのは2012年の9月まで遡ります。
ここ最近の実績と対戦成績で大きな差がある2チームの対戦ですが、今回はどうなるのでしょうか。まずはスタメンを見ていきましょう。
リバプールは、怪我で欠場しているロベルト・フィルミーノに代わってディオゴ・ジョタがセンターフォワードを務め、同じく怪我で欠場しているナビ・ケイタの代わりアレックス・オックスレイド=チェンバレンが中盤センターに入りました。
アーセナルのメンバーはここ最近と大きな変わりはないですが、中盤センターにトーマス・パーティが復帰。フィジカルと技術を併せ持つミッドフィルダーの復帰は心強いでしょう。
【試合概観】4-0と大差がついたゲームに
大差がついた結果とは裏腹に、前半は拮抗としたゲーム展開になりました。リバプールは前線からのプレスでボールを奪うとそのままボールを保持。リバプールがボールを握り、アーセナルが耐えるという立ち上がりとなりました。
リバプールがボール保持率では圧倒していましたが、4-4-2のブロックを敷いたアーセナルの粘り強い守備を前に中々縦にボールを通すことができません。対するアーセナルも時折鋭いカウンターを見せてリバプールに対抗をしていました。
そんな均衡状態を破ったのは、セットプレーでした。前半の39分にアーセナル陣内でファウルを受けたリバプールはフリーキックを獲得。キッカーのトレント・アレクサンダー=アーノルドのキックはアーセナルディフェンダーのちょうど真ん中に到達し、サディオ・マネが頭で合わせてゴール。前半も終了しようという時間帯にリバプールがついに先制に成功しました。
前半はそのまま終了しましたが、後半になってスコアは大きく動くことになります。後半52分、アーセナルの左サイドバック、ヌーノ・タバレスのボールをカットしたリバプールのフォワード、ディオゴ・ジョタがアーセナルのセンターバック、ベン・ホワイトとゴールキーパー、アーロン・ラムズデールをかわしてゴールを決めて追加点を奪います。
敵地で2点リードを奪われたアーセナルは前がかりにならざるを得ません。そうなると、相手ディフェンダーの裏に快速アタッカーを走らせてロングカウンターをするというリバプールの得意パターンがはまります。後半73分と77分に同じようなパターンからモハメド・サラーと南野拓実が連続ゴール。リードを4点に広げます。
そうなるとアーセナルの戦意は喪失。反撃する気力もないまま、試合は4-0で終了します。一見するとリバプールがアーセナルを圧倒した戦いに見えますが、詳細に試合を分析すると試合を分けたターニングポイントが浮かび上がってきます。ここからは細かく試合をチェックしてなぜリバプールが勝利を収めたのか解説していきます。
【ターニングポイント①】先制点を生んだ判定
まず最初のターニングポイントは先制点を生んだ審判の判定です。前半38分に中盤でボールを持ったリバプールのマネに対しアーセナルのアレクサンドル・ラカゼットが猛烈にチャージをかけます。
するとそのチャージに対し審判が笛を吹きます。プッシング(ボールを持っている選手に対し、ディフェンスの選手が手を使ってボールを保持する選手を押すこと)があったとしてリバプールにフリーキックを与えます。
スローで見ると微妙な判定でした。ファウルと言われればファウルとも取れるし、ファウルを取らない審判もいるでしょう。結果的にこの判定が試合の結果を大きく左右することとなりました。
ファウルによって得たフリーキックをしっかりと決めてリバプールが先制に成功するのです。この得点は試合に非常に大きな影響を及ぼすものでした。前半からリバプールはボールを保持してアーセナルを押し込みますが、肝心の縦パスが通せずに中々決定機を生み出せません。このまま前半が終了すれば勝ち点3を欲するリバプールには焦りが生まれたはずです。
結果的にフリーキックを与えたこの判定が、試合を分けたターニングポイントとなってしまったのです。
【ターニングポイント②】経験不足が露呈した選手起用
2つ目のターニングポイントとして挙げたいのが、アーセナルの選手起用です。アーセナルはここまで、プレミアリーグの中で最も若いスターティングイレブンで戦っています。
リバプール戦のスタメンで25歳以下の選手は、ゴールキーパーのラムズデール、右サイドバックの冨安健洋、左サイドバックのタバレス、センターバックのホワイトとガブリエウ、ボランチのアルベルト・サンビ=ロコンガ、ウイングのブカヨ・サカとエミール・スミス・ロウと実に8選手。対するリバプールが左サイドバックのコスタス・ツィミカスとフォワードのジョタの2選手だけということを考えると、かなり若いスカッドであることが分かると思います。
若い選手は時にフレッシュさでチームに活力を与えますが、その分経験が少なく危うさをはらんでいる諸刃の剣でもあります。開幕3連敗を喫して以降、若手がダイナミックに活躍して好成績を収めていたアーセナルですが、リバプール戦ではそのマイナスな側面が顔を覗かせてしまいました。
まずは先制を許した前半39分のシーン。フリーキックの場面でゴールを決めたサディオ・マネのマークを外してしまったのは、若手のベン・ホワイトと冨安健洋でした。それまでは好プレーを披露していましたが、前半終了間際という大事な場面でミスが出てしまいました。
さらには、2点目を奪われたシーン。こちらはより顕著に若手の経験不足が出てしまいました。左サイドでアレクサンダー=アーノルドからボールを奪ったタバレスはドリブルを開始。しかし行く手を阻まれたためバックパスを選択します。そこに落とし穴が待っていました。バックパスをする際は、本来ならばセンターバックをしっかりと視野にいれて敵が近くにいないことを確認してからボールを蹴ります。
しかしタバレスはよく状況を確認しないままパスを出してしまいました。結果は前に書いた通り。ボールをカットしたジョタが2点目を決めました。1点ならばまだ同点や逆転の芽があったものの、2点目を奪われたことによりアーセナルは意気消沈。このゴールが試合を決定づけたといっても過言ではないでしょう。
リバプールの試合巧者ぶりが発揮された試合でもありますが、同時にアーセナルの経験不足が露呈された試合でもあったわけです。